EVは「異質化イノベーション」のコアになる!

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三井ホームとIHIは非接触給電装置を搭載した電気自動車を戸建住宅に充電する装置の実用化に向けた研究開発に共同で取り組んでいる。IHIで開発中の非接触給電は米ワイトリシティのライセンスによる磁界共鳴方式で、3kWを超える電力を20cm離れて効率90%以上で送電可能なことが実証されている。三井ホームは戸建住宅における宅内インフラの基準づくりや、太陽光発電システムや家庭用蓄電池と協調するHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)制御等の分野で研究を行い、自動車側からの送電・受電を含めた双方向の効率的な電力供給システムの開発を担う。この取り組みを通じ、将来自宅の駐車場で短時間の駐停車時にも充電が可能となるなど、ユーザーの利便性向上と新しいライフスタイルの実現を目指す。(出典:三井ホーム)

ユーザーが求めることに、EVが応えるためには

冒頭に表したようにEVの普及・浸透は「見込み」から「現実」のものとなってきている。
最近の記事を見てみると、

  • 三菱電機がSiCインバータを内蔵したEV用モーターシステムを開発。
  • トヨタ、日本電産などでレアアース不要モーター技術を実用化。
  • 東レが海外でCFRP素材の生産を拡大。そしてNTNは軽量化インホイールモーター技術を開発。日本ではないが、Envia Systemsがフル充電で500キロ近く走れるバッテリーを開発した。これらを組み合わせれば、理論的にはフル充電で1000キロ近く走ることも夢ではない。
  • 大手自動車メーカーに依存せずにEV専用プラットフォームを共有する動きがある。コストの抑制が中小規模企業でも可能となる。
  • 住宅メーカーの三井ホームとIHIがHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を共同開発。積水ハウスは電力を創る住宅を分譲。  等々。

これらの技術が今後のEVにとってのコア技術になることは間違いない。それぞれの技術はほぼ民間企業が多くの時間、労力、資金を掛けて確立したものだ。その努力と先見の明は報われなければならない。が、できるだけ早いタイミングでそれらの技術はユーザーに浸透させなければならない。
ユーザーに専門的な技術を理解してもらう必要はない。ユーザーが求めることとは、安全性、使いやすさ、価格と移動コストの安さにほぼ集約できるからだ。一義的にはこの部分が最低限の前提条件となる。前述の技術もまたそれらを具現化するものである。

問題なのはその先だ。前述の常盤氏が言う「在来線をいくら引いてもダメです。アップルは新幹線を引いたんですね。日本企業との差はそこだと思います。日本企業もビジネスモデルのイノベーションを起こさないといけないですね」に秘められているように思う。
もしかすると、自動車にとっての新幹線とは、およそ自動車の体を成していないものなのかもしれない。ただし新幹線と違って要求されるのは絶対速度の速さではなく、確実性と事故回避性にあるようにも思う。
なんら根拠はないが、EV技術にこそ、そんな異質化イノベーションの潜在力が秘められているものと信じている。

三菱電機が開発した「SiCインバータ内蔵モーター」。モーター駆動部であるインバータのパワー半導体素子をSiC(炭化ケイ素)化してこれをモーターに内蔵することでEV駆動用モーターシステムとして業界最小を実現した。モーターとインバータ間の電気配線を筐体内部に配置することで構造を簡素化し、従来のモーターとインバータ別々と比べて体積50%減(同社比)としている。今後実用化に向け本格的に取り組んでいく予定だ。(出典:三菱電機)

NTNインホイール型モーター内蔵アクスルユニット。「インテリジェント·インホイール」は多軸荷重センサ等からの情報により高精度磁気式角度センサを内蔵したインホイールモーター、電動ブレーキを制御することで、最適な回生制御や車両安定制御が可能となり、燃費と安全性を向上させる。またインホイールモーター方式の電気自動車は、車両の設計やデザインの自由度が飛躍的に高まるとともに、高度な駆動制御により横方向への移動やその場での旋回など、多様なユーザーニーズに応える運動性能を持ち、これまでの自動車の概念を大きく変えることが可能だ。(出典:NTN)


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