空気で走る自動車!・・・夢の実現はトヨタ系列の血筋

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豊田自動織機「夢の車工房」40名によって製作された空気エンジン自動車「KU:RIN」はテストコースで時速129.2kmを記録し、ギネス記録への申請も行うという。出発点は、「電気でも内燃機関でもない、新しい動力に取り組みたい」という思いから。そこから、「モーターと発電機の関係のように、コンプレッサーも逆から空気を入れたら回るのでは?」という発想が生まれ、同社の主力製品であるカーエアコン用コンプレッサーを基に高効率なスクロールタイプの空気エンジンを開発した。スクロール式の空気エンジンは世界初だという。ちなみにKU:RINの車重は100㎏、最大出力11.3kW、最大トルク46.8Nmである。(出典:豊田自動織機)

豊田自動織機。国内自動車産業の祖にして、トヨタ自動車の祖でもある豊田喜一郎の実父「佐吉」が大正末期に興した繊維機械メーカーだ。現在では繊維機械はもちろん、EVには欠かせないインバーター技術、自動車機器から産業機器までを開発製造する一大ハイテクメーカー。喜一郎直系の章一郎、章男(現在)がトヨタ自動車の経営を担い、章男とはとこ関係になる豊田鐵郎が社長を務める。

その豊田自動織機内に「夢の車工房」はある。2006年12月、様々な事業部・専門分野の若手技術者40名が集まり、夢の車をテーマに、新しいコンセプト車両の企画・製作活動を行っている。
空気エンジン車「KU:RIN(クーリン)」はそこから生まれ、先日空気エンジン車における世界最高速記録に挑戦し、129.2km/hを記録した。同社が得意とするコンプレッサー技術を駆使し、圧縮機ではなく膨張機としての機能に着目。圧縮空気が膨張する力だけを動力源として「クーリン」を開発したという。

空気自動車というと、ルクセンブルグのMDI社が有名だ。ヨーロッパではEV普及がもちろん活発だが、一方ではより安価で低公害な、再生可能エネルギー使用の極致「圧縮空気を動力とした自動車」の実用化、普及を睨んでいる。最新のタイプでは同社の「エアポッド(AIRPod)」が話題になっている。しかし、開発は難航し、量産開始の目途すら立たない状態にあるという。その理由が技術部分にあるのか資金面なのか、はたまた見えない力学が働いているのかは定かでない。
JB Pressによると、開発途上の「エアポッド」は3人乗り。最高時速80キロメートルのシティコミューター型自動車で車重はわずか275キロという。約250気圧260リットルの高圧空気タンクを搭載し、圧縮空気を膨張させてエンジンのピストンを動かす(この原理だとクーリンと同様に見えるが、クーリンは高効率なスクロールタイプの空気エンジンを開発した。このスクロール式技術は世界初だという)ため、もちろんCO2などは一切出さない。1回の給気(給油でも給電でもない)で135~150キロ走行できるから、高速道路走行は難しいが、買い物や短距離走行には十分な走行距離だ。(*単純計算だとリッター当たり600メートル弱の燃費がやや気になるが)
空気自動車は、搭載した高圧空気タンクがもし爆発すれば危険だと言われるが、MDIの取材を重ねているベルギーのaircars.tkの説明によると、タンクは通常のガスボンベに用いられているものと同様で、火事や衝撃などに耐える厳しい安全基準を満たしているため、爆発は起こり得ず、最悪割れても空気が勢いよく噴き出すだけにとどまるという。


MDIでは、エアポッドが公害や都市のモビリティ研究の結果であり、新しいシティコミューターの姿と位置づけている。テーマパークの乗り物のようにも見える同車は、最もトラフィックが混雑した都市部使用を考えて作られ、納品、自治体サービス、小規模物流のために使用できる汎用性がある、とアピールしていることから、空港、鉄道の駅、自治体などからの受注を睨み、究極の無公害車として普及させたい意欲が垣間見られる。(出典:MDI)

話しは変わるが、先日56歳の若さで他界したアップルのカリスマ経営者、S・ジョブズが、なぜ全世界から賞賛、注目されたかをふと考えてみた。一つ一つ世に出したものを並べるときりがないが、わずか10数年で積み上げた作品(あえて商品と呼ばない)の根底に流れているスピリッツは、まさに「夢の実現」であったのではなかろうか。
コンピューターというハードを素材に、どれだけ「人が楽しめ、人に役立たせられる」のかを極め、ついでに遊び心を隠し味で加えたような気がする。結果、まぎれもなく世界を変えた。産業革命から瞬時にライフスタイル革命にまで及んだ好例だろう。
もちろんそれは誰にでも出来る業ではない。しかし、夢は誰でも持つことが出来る。その夢を見つけ、実現させる人たちは、その瞬間にカリスマとなるのではないだろうか。
夢の実現者であった豊田佐吉、その息子喜一郎のスピリッツが「クーリン」の製作メンバーに流れているとしたら、これはまさしくトヨタ系列の血筋なのではなかろうか。
EVのみらいを考える立場を超えて、豊田自動織機「夢の車工房」メンバーへ心からのエールを贈りたい。

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