訪問介護現場が「これなら!」と思う超モビの理想形とは
超モビの車幅はほとんどが1300mm以下ですから、理論的には前述のような道路(但し3.5m幅以上)で停まっていても大方の他車が通り過ぎることができます。ここがとても重要です。どうやら超モビ介護にはこの車幅(1300mm以下)を実現させるために、2人乗りでも結果的にタンデムシートレイアウトが有効のようです。
さて訪問介護の実走距離ですが、東京23区内の場合、1日当たりマックスで40km程度と思われます。EVですから、業務が終了して夜のうちに充電する、たったそれだけです。通所もそうですが、訪問介護の走行距離はほぼ一定しています。ここが重要なポイントなのです。そして乗員は1名がほとんどで、大きな道具を積載することはありません。ここも重要です。
いずれ設定される超モビの価格の行方はもちろん気になるところですが、それよりも超モビに要求されることは「新たな価値の創出」だと思っています。自動車メーカーやEVベンチャーが提案する超モビ各車の技術面やパッケージサイズにはまったく問題がないものと考えます。
ただ、法整備も含め検討してほしい課題はあります。
一番気になっていることは、ドアなし(と、ドアはあっても窓なし)であることです。デフロスターが付けられない理由かららしいのですが、これはまずいです。いかに短距離移動手段といえども夏の暑さ、冬の寒さ、雨風を最低限しのげるものであるべきです。
使用状況から考えれば、過大な快適性を要求する利用者はいないでしょうが、といって運転者に苦痛を与えるものであっていいわけがありません。
日本の企業や研究機関が持つ技術力をもってすれば、曇りをとるウインドー設定、省エネの限界に迫るような超モビに最適な冷暖房機能の設定が困難とはとても思えません。
セブンイレブンが一部配達用にコムスを使用していますが、雨風をしのぐためにソフトカバー(ドア形状)を付けていました。利用目的がレジャー用ではありませんので運転者にとっては実はうれしくないものと想像します。
最後に一言。
EVの普及台数は当初の目論見よりかなり下回っているようです。価格(高い)、走行距離(短い)、充電インフラ(少ない)などがその主たる原因になっているとしていますが、それはEVを通常の自動車と同じ土俵の範囲と見なすところから始めた結果だと思っています。
なぜ、最適な場面の掘り起こし、そしてその最適化から始めないのでしょうか。
あらゆるEV周辺技術の向上やコストの低減は、普及なくしては始まりません。そのためにも超モビにはそういうシチュエーションから始まる「新しい価値」のきっかけを作る草分けになってほしいし、そのカギを握る潜在能力は十分持ち合わせているものと信じます。
ともかく「数」は大事ですよね。超モビに携わるすべての皆さん、そう思いませんか?