韓国・現代起亜自動車の「レイEV」は量産目的で開発され、一般自動車工場で生産する韓国初のEVとして注目される。ソウルモーターショーに出展された同車のコンセプトカー(写真下)には出力が50kwの電気モーターと16.4kwのリチウムイオンポリマー電池を搭載し、最高時速は130klm/h、1回の充電で約140km走行できるという。同自動車グループは今年電気自動車(EV)の開発に全力投球するとも言われている。蛇足だが日本の軽自動車と酷似しているところがやや気になるところ。(出典:起亜自動車)
先日、韓国政府は現代起亜自動車が発表した「レイEV」などのEVを後押しするため大規模なインフラ整備や補助政策を打ち出した。報道で指摘されていたのは「EVの最大の利点は燃料費が節約できること。完全充電は割安な深夜電気料金で1回860ウォン(約60円)程度。1カ月に2000キロ走行する場合、EVの充電費用が約1万2000ウォン(約840円)に対し、ガソリン車の燃料費は20万~30万ウォン(約1万4000~2万1000円)を要する」という部分だ。
が、反面「最大の課題は車両の本体価格。ガソリン車の「レイ」が1240万~1495万ウォン(約87万~105万円)に対し、電気自動車の「レイEV」は4500万ウォン(約315万円)と3倍以上する」としている。
その理由はバッテリー価格が車両価格の多くを占めるからだ。単純比較はできないまでも、日本でも世界でも事情はおおよそ同じ。
このことを踏まえ、米オバマ政権は「EV-Everywhere」と名づけられた政策で、今後10年以内に、現行のガソリン車よりもクリーンかつ使い勝手に優れ、米国の平均的所得層が購入できる価格帯の環境対応車を開発することを第一目標に掲げた。具体的には2022年までに、米国企業が世界に通用する5人乗りの普及価格EVを量産できる体制を整える。現行比で50%コストを抑えたリチウムイオンバッテリーの開発や、1回の充電で最大300マイル(約483km)を走行できる性能の実現を目標に挙げている。
つまり、バッテリー性能を3倍以上に、価格を半分にすることを10年で実現させよう、としているのである。米韓ともニュアンスは異なるまでも並々ならぬ施策としてEV普及に向かっていることは間違いない。
日本でもエコカー補助金や減税などのEV優遇策はある。しかし、韓国やアメリカのような積極策と比べるとどうしても見劣りがしてしまう。ビジョンとしての電力政策一つ定まらないのだから当然といえば当然だが、なんとも歯がゆいことも否めない。
EVの本体価格が現時点でエンジン車と比べて相当割高であることは多くの説明を要しない。本稿で何度か述べているとおり、今後の民間企業努力と技術力に期待していくしかない。嘆かわしいことだが、政治・行政のスピードがあまりにもそうした実態とかけ離れていることが現実だからだ。