今年(2年に1度、偶数年)のパリモーターショーの注目は、なんといってもEVを中心とした次世代エコカーのオンパレードだ。プジョー・シトロエンやルノーなどの地元フランス勢はもちろん、アウディやロータスなど他の欧州勢も、いずれ劣らぬ技術と先進性を存分に発揮している。(写真はCAR VIEW http://www.carview.co.jp/psl/2010/list.aspへ)
ヨーロッパ車の華は、技術もさることながら先進的でセンシティブなデザインにある。イタリア車の神秘的デザイン、ドイツ車のスタイリッシュで合理的なデザインなどがいつの時代でも目を引く。
もちろん今年のパリモーターショーでも間違いなくそうであったのだが、そんな中でもひと際異彩を放っていたクロームカラーのコンセプトカーがあった。ヨーロッパ車でも日本車でもない、韓国の「起亜POP」である。
この全長わずか3mの未来的パッケージの動力は、次世代モーターとリチウムポリマーイオン電池による完全EVということと、乗車人数は3人乗りであるということだ。起亜自動車では詳細を明らかにしていないが、世界に向けて猛烈にアピールしていることがいくつか感じ取れる。
それは、EVのデザインはきわめて自由度が高いことを具体的に示したこと(だから大胆でいい!)。韓国のデザイン・スキルやセンスが世界に通用しているどころか、勝るとも劣らないこと。そして、EVが目指す一つの方向性を明確に打ち出していることだ。
EVが目指す理想的な姿や形の方向性は、未だどの国も一定の結論には至っていない。どうやら「起亜POP」の主張は、「新しいシティコミューターの形」に思える。1人乗りでも2人乗りでもない3人乗りという室内ディメンションも、トヨタiQ並みの短い寸法も、開放的で視界をクリアにしたパノラマルーフも、すべてのパッケージングがそのように主張しているようだ。
日本もヨーロッパ諸国もアメリカも中国も、今後当分EVで覇を競っていくのだろう。技術もインフラもきわめて大事なことだが、どうやら目に見える形でその方向性を世界に見せつけ、すみやかに実現させていくことが何よりも大切に思われた。日本のお家芸である「高品質」が世界に誇れることは間違いないが、時に見えにくいのが難なのではないか。
韓国デザイン、いやイノベーション恐るべし!