パイクスピークを機にEV機運が高まる予感
昨年のパイクスピークで10分を切り、夢と言われた記録を更新したスズキSX4パイクスピーク。このマシンをスポンサードした「Go Pro」、「FALKEN」などは引き続き今年も協力が継続される予定。いずれにせよスポンサーが多いことに越したことはなく、田嶋氏はギリギリまで協力者を求めていくそうだ。(Photo by Y-Ohara)
それから20数年を経て、シムドライブ、NTNなどAPEV参加百数十社、研究者、行政、自治体との交流の中でEVを作り、普及させることに全身全霊を傾ける田嶋氏であるが、会社経営やEV関連イベントなどで多忙をきわめているのにも関わらず、なぜパイクスピーク、それもなぜ自分でドライブするの? と感じる方もおられるだろう。
私の想像なのだが、これは自動車競技のドライバー、それも頂点をきわめたドライバーというものの「さが」ではないかと思っている。仕事への情熱を高い次元で保つために自分の考えを中心に作ったプロトタイプを極限まで自分の体で経験、確認することこそ、いつか必ず最大のユーザー・サービスに繋がると信じる、いわば完全な現場主義者なのである。
彼の名誉のためにつけ加えるが、ただ単に目立とうなどという気持ちはおそらくかけらもないだろう。ひたすら未来を見据えた末の今回の決断なのである。
日本ではモータースポーツやそのイメージへの理解認識が決して高いとは思えない。極端だがモータースポーツ=暴走=非行なんていう短絡的な解釈の時代もあったくらいだ。しかし、例えばアウディが堂々とモータースポーツ=市販車フィードバックをずっと標榜しているように、いつの時代でも限界性能を試す行程はきわめて重要なことだし、日本のメーカーもそれを潔くディスクローズしてもかまわないはずである。少なくとも今年のパイクスピークにはトヨタも三菱もエントリーする。もちろんEV仕様で。そこにも時代の変化と流れを感じることができる。
写真のEV挑戦車(イメージスケッチ。正式名称は「モンスタースポーツE-RUNNER パイクスピークスペシャル」)が市販されることはあり得ないだろうが、今後のEVのいいところも弱いところも、今回の参戦行程を経て良い意味でより明確になっていくのである。まさに歴史の積み重ねの第一歩とも言えよう。ただし、田嶋氏操る同車のスピードように、その浸透加速度が要求されていることも間違いない。
パイクスピークの詳細については、
チームAPEVパイクスピークEVチャレンジ実行委員会
http://www.apev.jp/teamapev/
同競技への4泊6日の観戦ツアーに関しては、
JTB法人東京 第一事業部 TEL.03-5909-8060まで。(1名19万8000円)
場所・日程は、アメリカ・コロラド州・コロラドスプリングス 7月3~8日。
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