どうなるEVみらい!独断「なぜ、電気自動車なのか?」

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有権者の半分より僅かに多い程度の投票率で参議院選挙は終了した。報道各社の予測どおり自公与党の圧勝という結果だった。むろんここでそのことについて多くを語るつもりはないが、有権者にとっての苦渋の選択が今回垣間見えたような気もする。
大きな理由は脱原発を訴えた党(事実上は自民党以外すべて)がほとんど当選に反映されなかったにも関わらず、依然として国民の6割程度は原発稼働を止めてほしいと思っていること。そして政党名比例投票では自民党の1400万票余りに対し、野党全体で2100万票余りを得票していることだ。
これって苦渋の選択以外のなにものでもないのではなかろうか。できれば原発は止めてほしいが、目先の景気はよくしてほしい・・・、で原発止めたら景気が悪化してしまうのではないか、といった懸念が投票行動に表れていたような気がした。

さて、本題の電気自動車(EV)だが、ご承知のとおりこの2、3年の希望的予測に反して普及があまり進んでいないのが実態だ。充電設備量や設置コストの課題、遅々として進まない規制緩和、車両価格や実質コストの不満と不安、航続距離への不安などマイナス要素は少なくない。
国内のEVベンチャーも苦闘しているものと推察するが、海外でも利益を出したのはテスラモーターズだけで、それ以外は黒字どころか経営破綻をも余儀なくされているところがほとんどだ。いったい数年前のEVに対する熱狂はなんだったのだろうか、と思いたくもなる方も多いのではなかろうか。

なぜ枯渇するかもしれない石油に依存するのか

独断ではあるが、EVなどの次世代自動車普及に関して常々以下のように考えている。

  1. 数十年後に枯渇する可能性があり、石油産出国の政情や投機対象として価格などが不安定な、さらには日本にとって事実上輸入100%の石油にこれ以上過大に依存するべきではないのではなかろうか、という点だ。
    内燃機関の性能向上は著しく、特に燃費面の向上は素晴らしい。が、それは過渡的には有効であっても中長期的なサスティナブル視点に立った場合、すでに内燃機関以外の動力の準備は加速させていくべきではないだろうか。
  2. 上記のように日本では石油はとれない。だからかつて電力エネルギー発電を原子力に頼ったところまでは理解できる。しかし、3.11で状況は一変した。何かあった時の対処ができないことが露呈したのだ。持論だが、原発自体への賛否はない。が、有事対応ができない日本に原発を維持管理する資格はないと考える。
    という前提に立てば、諸外国のイデオロギーや宗教など一切関係ない再生可能エネルギーの開発こそ今の日本が最も力を入れるべき技術課題なのではないだろうか。新幹線と同技術のトップセールスまでは理解できるが、有事対応が不透明な原発の売り込みはまったく理解に苦しむ。全世界が求めているのは安心・安全・安定・クリーンな電力であることは誰から見ても明白ではないか。今再生可能エネルギー技術開発に足踏みしていると、ドイツあたりに一気に技術面で抜かれるような危惧さえ抱かざるを得ない。
  3. EVが持つソフト面の付加価値を徹底的に探るべき

  4. 自動車製造企業、EVベンチャーや自治体が共同、協働で行うEVの実証実験が盛んだ。それ自体はいいことだ。しかしいかんせんテンポが遅い。縦割り行政の弊害なのか、企業が石橋を叩いて渡っている結果なのかは分からないが、お世辞にもダイナミックな動きとは言い難い。
    シンクタンクなどの分析によると、EV普及の妨げになっているのはインフラ整備と航続距離の短さが真っ先に出てくるが、実に不毛な指摘と感じている。急速充電器などのインフラ整備はEVを長く遠くまで走らせようとすることが前提であって、それってEV用途を従来自動車と同じものとみなしていること。その固定観念になぜとらわれるのかが理解できない。
    つまり、それ以外の用途が移動体(あえて自動車とは言わない)にあることにはあまり触れられていない。結論すれば、1回の航続距離が50キロを切る使用条件は実は膨大にあるものと考えている。実証実験ではそれらをさらに模索することも含まれているが、知る限りでは、観光、過疎地の買い物弱者対応、宅配便、役所の足、シティコミューター、島内活用などが挙がっているが、間違いなくもっとあるはず。
    ここで言いたいことは、高品質EVの開発はもちろん重要だが、EVの方がだんぜん賢い使い方ができるシチュエーションをたくさん提示すればおのずと普及が加速するのではないかと感じることだ。ハードも大事だけど、なんといっても使うのは人だから、一にも二にもソフト面の徹底的な究明こそ肝心だと思う。

かなり以前の記事なので記憶が定かでないが、テスラモーターズ日本支社の広報幹部のコメントに同感した。テスラ本体(つまりはイーロン・マスク代表)曰く、EV開発・製造・販売について、「我々はやりたいことをやっているのではない、(時代が求める)やるべきことをやっているのだ」というところ。この発言は重いと感じた。
ピュアEV以外でもFCEV(燃料電池車)、PHEVなど次世代自動車技術は日々進化している。いずれも化石燃料依存から脱するための技術であることは言うまでもない。
果たして本命は何なのか? 答えはない。いずれも本命だからだ。かつて次世代自動車はHVから始まってPHEV(レンジエクステンダーEV含む)、EV、FCEVへと主流が変遷していくとの見方があった。が、果たしてその順序が重要なのだろうか。大切なことは、順序ではなく、未来のモビリティ世界を描き実行することではないだろうか。そこに必要なことは、自動車の種類ではなく使う側にとっての最良を導き出すことではないだろうか。
であるならば、仮に1000通りの使用目的があるとすれば1000種類の移動体が要求されるはずだ。もしかしたら「やるべきこと」とはそこにあるのかもしれない。

そのためには、冒頭で少し触れた政治の決定と覚悟はこの上なく大きい。自動車とインフラを一括りと捉えている限り、この国に次世代を担うモビリティ文化が育まれることは、おそらくない。



ホンダは、超小型EV「マイクロコミュータープロトタイプβ」を使った社会実験をさいたま市と共同で開始した。今回行う市内での実験では、主に都市部での社会システムとして求められる超小型モビリティの使い方やニーズを模索。高齢者層に対する日常的な移動支援や子育て層に対しての価値検討などさまざまな用途での可能性を検証する。(出典:ホンダ)

「マイクロコミュータープロトタイプβ」は、国土交通省で導入が検討されている超小型モビリティの車両区分と欧州L7カテゴリーを視野に入れた近距離移動用の超小型EV。バッテリーやモーター、コントローラーなどを床下などに配置し、動力機能をコンパクトに完結させたプラットフォーム「Variable Design Platform」を採用することで、さまざまな用途や顧客の要望に合ったボディや内装を既存の自動車より比較的容易に開発・生産することを可能にする。まさにホンダらしい発想。(出典:ホンダ)

日産自動車は2014年中の発売を予定している100%電気商用車「e-NV200」の市場投入に向けた実証運行をDHLの日本法人であるDHLジャパンと協働により東京都丸の内界隈で開始した。DHLジャパンは7月12日から約3週間、日産が貸与する「e-NV200」のモニター車を企業や商業施設などへの荷物の集配に活用し経済性や環境性能、電気自動車としての実用性や可能性を検証する。(出典:日産自動車)


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