二輪車大手も黙ってはいない、が・・・
10月11日付の「電動バイクに普及の兆し 国内二輪車大手が相次ぎ参入」は、当サイトのメディアウオッチングでも紹介したが、そうなることは当然と、思わずほくそえんだ。
報道の概要は、
『バッテリーとモーターで走る電動バイクに普及の兆しが出てきた。これまでは輸入車や新興企業製の販売が中心だったが、二輪車大手が相次ぎ本格参入する。ただ、特別な品質基準はなく、国内で何台走っているかさえ正確なところは掴めていない。そんな中、首都圏を皮切りに9月から売り出されたヤマハ発動機の電動バイク「EC―03」(写真?)と、ホンダも12月、「EVE―Neo(イーブ・ネオ)」(写真?)を官庁や配達業者向けにリース販売し始める。将来は個人向けにも売る。スズキも(写真?)電動バイクへの参入を決め、公道での走行調査を始める』
というものだ。
写真?
写真?
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国内の二輪車大手が電動バイクやスクーターに本格参入する理由は、もちろん環境対応面が大きいとは思うが、この5年間の二輪車販売・生産規模の推移とも無関係ではなさそうだ。
販売・出荷統計を、2005年9月から2010年8月までで見てみると、ざっとこの5年間で半減している、という驚きの結果だ。
全メーカー合計 | |
2005年9月-2006年8月 | 703,715 |
2006年9月-2007年8月 | 699,842 |
2007年9月-2008年8月 | 573,920 |
2008年9月-2009年8月 | 423,803 |
2009年9月-2010年8月 | 368,315 |
生産統計に至ってはどのメーカーも軒並み下降、全体で見ても5年前の約3分の1という悲惨さだ。
ホンダ
|
スズキ
|
ヤマハ
|
川崎
|
その他
|
全メーカー合計
|
|
2005年9月-2006年8月 |
570,741
|
517,086
|
449,754
|
253,851
|
506
|
1,791,938
|
2006年9月-2007年8月 |
507,740
|
516,415
|
451,735
|
284,204
|
346
|
1,760,440
|
2007年9月-2008年8月 |
352,429
|
391,823
|
363,419
|
204,282
|
145
|
1,312,098
|
2008年9月-2009年8月 |
263,314
|
242,380
|
248,786
|
154,229
|
74
|
908,783
|
2009年9月-2010年8月 |
192,898
|
157,771
|
171,682
|
109,331
|
77
|
631,759
|
ヤマハのコンセプトモデルEC-f/EC-fsは「モーターサイクルのデザインをもっと自由に」という発想から生まれたモダンでメカニカルなアート志向が目を引く。重要なことは、このモーターサイクルの動力が電気モーターでなければ成し得ないデザインであることだ。
自動車も含め「若者のクルマ離れ」、「長引く不況」、「将来不安」など、確かにいい条件は何一つ見当たらない。しかし、人々のモノに対する価値観は大きく変貌しているのだ。
ホンダ、ヤマハ、スズキのEV本格参入は、電動バイク&スクーター普及の大きなけん引力になるから歓迎するとして、前述の「これまでは輸入車や新興企業製の販売が中心だったが・・・」というくだりも含めて、EVという選択肢がユーザーに自然に広まっていくことが好ましいことだけは間違いない。
もはや、「1億総同じもの」時代は終焉を迎え、「1億総目利き」時代に突入したことを供給側は強く自覚しなければならないだろう。
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