パワーデバイスは、送電、自動車、鉄道、太陽光発電、風力発電、家電などへの応用のニーズが高い電子素子であり、スマートグリッド化のキーデバイス。高効率の電力変換が可能で超低損失なパワーデバイスの開発により、省エネルギーを推進し、二酸化炭素ガスの排出を大幅に削減することができるようになる。現在、主流であるシリコン(Si)を用いたパワーデバイスは、高い電圧に耐えられない上、温度上昇にも弱く、電力変換の損失も多いなど性能の限界が近づいている。このような課題を解決するために、新しい材料として炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)によるデバイスが研究・開発され、一部実用化されつつある。ダイヤモンドはこれらの材料よりも、さらに高い絶縁破壊電界(Siの100倍)や熱の逃しやすさ(熱伝導率がSiの14倍)など究極の物性値を持つために、高電圧をかけても壊れず、また大電流を流したときに発生するジュール熱を効率的に逃がすことができる。そのため、特に、大きな電圧や電流が必要な電気自動車や直流送電などでは、ダイヤモンド半導体を用いたパワーデバイスの実現が期待されている。
JST・東工大・産総研、ダイヤモンド半導体を用いた接合型電界効果トランジスターの動作に成功(プレスリリース)