超小型モビリティは、「どう使ってもらうか」の段階に入った

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羽田雄一郎国土交通大臣が試乗会に登場。大臣が興味津々で臨むのは、ホンダが「未来都市型ケータイ・パワースーツ」というコンセプトで東京モーターショーに出展した電動モビリティ「MICRO COMMUTER CONCEPT」だ。いささかお役所的言質は否めないが、国土交通省では超小型モビリティ等の導入・普及による持続可能な低炭素まちづくりへの取り組みを推進していくと明言、同車両がこれからの都市構想に欠かせない乗り物になるだろうともコメントしている。(出典:国土交通省)


前田・前国交大臣から引き継いだ羽田雄一郎・新国土交通大臣の新任会見の模様。羽田 孜・元総理を父に持つ参議院議員。施策概要としては「真に必要な社会資本整備はこれからも進めていく必要がある。公共事業費を増大しようと考えているのではなく、今ある厳しい財源のなかで、しっかりと進めていく」としている。44歳。(出典:国土交通省)

超小型モビリティ規格整備の動きは、今年5月29日付各メディアの「国が認定制度」という報道から、その動向が再び活発化した。中身は同車両区分へのガイドライン(指針)がまとまった、という内容だ。そして直近の6月18日、管轄の国交省はメディアを集めて、自動車大手5社の該当(近いとされる)車両(昨年の東京モーターショーに出展したコンセプトカー)を披露した。羽田国交大臣までも出席させたから、もう後には引かないよ、というアピールに見えないこともない。

冒頭で「再び」と書いたのは、実はこの超小型モビリティ規格新設に関しての報道、論調は、昨年始め頃にまで遡るからだ。
2011年2月3日付の日経電子版に「軽より小型、定員2人コミューター規格を模索」と、やはり日経の同年3月14日付で「次世代カテゴリーのクルマ、国交省が検討」という記事から「新規格整備」計画が始まるからだ。
電気自動車普及協議会(APEV)では、2010年の発足直後から超小型モビリティの専門部会を設け、当該車両技術の先進業界としての対応を模索してきた。が、肝心の認定作業がなかなか進まず微妙な状況だったのだが、ここにきてようやく2011年当時よりは建設的な対応に入れることになる。

超小型モビリティの検討は途上。
その位置付けはミニカーのように現状追認ではない

改めて最新の国交省のガイドラインから抜粋した新聞報道を見る限り、表現が不適切かもしれないがけっこうおおまかだ。内容は、

  • どんなクルマ?
    • 1~2人乗り程度。
    • 従来の自動車より小型で小回りが利く。
    • 原則として電気自動車なので環境への負担が少ない。
  • 使い道は?
    • 5キロ圏内の近距離の移動。
    • 高齢者の暮らしの足。
    • 地方都市や山間部の移動手段。
    • 観光地での周遊、など。となっている。

レスポンス記事によると、上記に加えて、

ガイドラインにニーズとして上げられた条件は多くない。作成で中心的な役割を果たしたのは自動車局環境政策課だが、超小型モビリティの検討は途上にあるため、あえて限定しなかった。ただ、その位置付けは、ミニカーのように現状追認ではない。
「超小型モビリティは地域の暮らしの中での移動ニーズに最適な形を目指した乗り物で、今までの自動車とは一線を画す」と、同課の星昭彦対策官は語る。
最終的には、超小型モビリティを道路運送車両法の中の車両に位置付けたい考えだ。車両区分や安全基準などの法令整備を進めることも視野に入れている。実現すれば半世紀ぶりの新しい車両区分の登場となる。
ガイドラインで想定される超小型コミューターは、現行制度にはないため、ほとんどがコンセプトカーとして自動車ショーなどに出展されているレベルだ。
スズキの『Q-CONCEPT』、ダイハツの『PICO(ピコ)』、ホンダの『マイクロコミューターコンセプト』、日産の『ニューモビリティコンセプト』などがそれだ。また、唯一の量販車と呼べる車両では、現行の原付1種の基準に合わせたトヨタ車体の『COMS(コムス)』がある。
そのため自動車局は、今年度中にこのガイドラインに沿った条件で超小型モビリティの大臣認定制度などを創設。自動車メーカーをはじめとする開発者が超小型モビリティを開発しやすい法令上の整備を進め、地方自治体などで超小型モビリティを使った実証実験をしやすい環境を整える。
新しい基準に基づく車両の開発は、現行の大臣認定制度を使えば、保安基準などの適用を除外して取り組むことができる。しかし、現行制度では実証実験の場所や期間が制限され、申請手続きも複雑だ。そのため超小型モビリティでは、より多くの新しいアイデアをすくい上げ、低コストで実現するために、車両の実現に沿った運用しやすい認定制度を考える。
今回のガイドラインでは、セグウェイのように立ち乗り型で歩行支援などに使える超小型モビリティに含まれていない。歩行支援を含む超小型モビリティは、現在実施中のモビリティロボット実験特区の実験結果を待って検討が進むことになっている。

と、新聞報道と比べてさらに突っ込んだ内容となっている。

大事なことは超小型モビリティならではの価値の創造

吉田おさむ国土交通副大臣が駆るのは、タンデム2人乗り超小型モビリティ、ダイハツPICO。まさしく高齢化・地方・宅配ビジネスなど、社会・環境の変化に対応した小さい車ならではの魅力を提案する2シーターEVコミューターとして開発された。ショーモデルだが、かなりリアリティの高い内容となっている。(出典:国土交通省)

つまり現状のガイドラインでは、車両の開発上できわめて重要となる「大きさ」、「動力程度」、「車体安全性」、「税制」などが具体的に明記、展望されていないのだ。好意的に解釈すれば『自由度を持たせるために、あえて現時点でかんじがらめの法整備予告をしない』と、とれないこともないが、作る側からするとやはり一定の確定フォーマットは絶対必要条件となる。

抽象的な前述のガイドラインに則って想像するに、具体的な車両イメージとしては日産モビリティコンセプトやダイハツPICOがおそらく近いだろう。車幅は1~1.2メートルといったところだ。ちなみに法制上軽自動車は1.48メートル以下、小型自動車は1.7メートル以下となっている。
となると動力の中心となるのは電動、乗員は2名以下、最も重要な税制面は原付自動車(ミニカー)と軽自動車の中間ぐらいとしか現時点では想像できない。さらに車検対応を義務付けるのか否か、中心車両価格帯が100~150万円の軽自動車に対して、どのような価格帯を設定するのか等々、実質的な課題は少なくないし多岐に渡る。

国交省・自動車局環境政策課の発言で注目したいのは「地域の暮らしの中での移動ニーズに最適な形を目指した乗り物で、今でまの自動車とは一線を画す」という部分。
解釈の仕方次第では、

───地域の暮らしの中での移動手段の主役は、日本独自のカテゴリーの「軽自動車」だったが、これはあまりにも立派になり過ぎた。もはやコンパクトカーとほとんど変わりないほど居住性、性能面は卓越している(自動車ジャーナリト風に言うと、それは企業努力の賜物)。だから、軽自動車を小型車カテゴリーにランクアップ(本命は税制面のかさ上げか!?)させて、いわゆる地域の足は、高速や自動車専用道路を走れないけれど超小型モビリティで十分なのではないか。
と解釈できないこともない。

もしこのような穿った見方が本筋だとすると、一番肝心な部分だけが抜けているように思える。それは何より「使う側の気持ち」だ。
仮に超小型モビリティが購入面、維持面、税制面で突出して経済的だとしよう。その部分で言えばいわゆる「普段履きの足」としては申し分ないだろう。が、活用範囲、目的はある程度限定される。端的にはたとえ年に一度であっても遠乗りはできにくいのだ。
その点を見事に解決したのが日本の軽自動車なのではないか。つまり、1台だけでほぼすべての使用目的に対応してきたのである。

超小型モビリティが本当に「使える足」となる条件・・・・。それは利用者がすぐに感じることができる「価値」であることは間違いない。その価値を価格や維持費面、スタイル、扱いやすさ、安全面、又は前述の今までの自動車とは一線を画すといった、まったく違う何かなのか。大手メーカーも含めた超小型モビリティ・コンストラクターズの手腕が試される時がきた。いや、作る側はもちろんだが、道路も含めた行政側、スーパーや病院などの施設側にもまったく新しい視点が求められるのではないか。

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