今回、金属組成を精密に調整し、製造技術を改良することによって安価で資源的に豊富な元素である鉄やチタンを活用し、希少な金属であるコバルトやニッケルを使わない高性能な正極材料2種を見いだした。この正極材料は基本的にはリチウムマンガン酸化物(Li2MnO3)の中に鉄とチタンを固溶させたものであり、両元素はリチウムマンガン酸化物の充放電特性を改善するために加えられている。製造技術については、以前から用いてきた共沈−焼成法を基本とし、焼成後の粉末に再度低温で有機物を共存させて還元焼成を行うことでさらなる充放電特性改善が認められ、既存正極と同じ電位範囲で、既存正極材料並みの高容量を示す正極材料となる。今回開発した正極材料は、既存正極と同じ電位範囲で動作可能であり、かつ資源的に豊富で安価な元素からなるので、この材料が実用化されれば大型リチウムイオン二次電池の構成部材の省資源化、低コスト化への貢献が期待できる。
【新技術・電池】産総研、低価格・高性能リチウムイオン二次電池を開発
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– 2012年3月1日