ドライバーが運転操作を行わなくても目的地まで走る乗用車「自動運転車」の実用化を見据え、大阪市は、咲洲さきしまと夢洲ゆめしま、舞洲まいしまの三つの人工島などがある臨海部(ベイエリア)に開発企業を誘致する方針を決めた。この分野で先頭を走る米グーグル社と協議を進めており、公道実験の実施に向け、近く警察や国など関係機関と本格的な協議を始める。グーグルの自動運転車は、全地球測位システム(GPS)で位置情報を把握しながら、レーダーやカメラで周囲の車や人、構造物などとの距離を確認。車載コンピューターがハンドルやブレーキなどを制御して走行する仕組みだ。米国内では公道での実験が始まっており、同社によると、約50万キロを無事故で走行した。大阪市によると、グーグル側は、将来的に自動運転車を高齢者や障害者らの移動手段として使う事業を模索しているといい、高齢化が進む日本は魅力的なマーケットの一つとされる。ベイエリアは南北に阪神高速道路が走り、舞洲軽飛行場跡は滑走路がテスト走行に使用可能。咲洲はニュータウンがあり、ロボット産業などの集積を目指す夢洲は、企業の連携が見込める利点がある。関西国際空港も近く、市都市計画局は「研究・開発に最適の場所」とアピールする。